アメリカ人の言う”Good”は当てにならない? ー日本人の知らないGoodのニュアンスとはー

ここのところアメリカ大統領選挙の堅い印象の記事が続いているので、たまにはアメリカの留学生らしいブログ記事でも書きたいと思います。今回のトピックはアメリカ英語における「Good」の使われ方についてです。「Good」と言えば「良い」という意味ですが、実はアメリカ英語では日本人が思っている「良い」とは違ったニュアンスで使われていることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。この辺りのニュアンスを理解できるようになると、アメリカ社会における価値観も分かってくるのでなかなか面白い話なのではないかと思います。それでは早速「Good」のニュアンスについて見ていきましょう。

 

アメリカ英語における”Good”の使われ方

アメリカ英語において「Good」は「良いね」または「優れている」の意味で使われることが多いです。例えば、「I went to Los Angeles last weekend.(先週ロサンゼルスに行ったんだよね。)」「Oh that’s good. How was it?(それは良いね。どうだった?)」のような会話や、「Japanese food is good because it’s healthy.(日本食は健康的だから良いよね。)」のような使われ方をよくします。前者においては特に問題ないかと思いますが、後者のような使われ方の場合には「Good」に「優れている」という意味が含まれていることにはお気付きでしょうか。実はこの「優れている」という意味が含まれている時、「Good」には別のニュアンスが生じてくるのです。

この「優れている」のニュアンスが一番分かりやすいフレーズは「I’m good at ~(私は〜が得意だ)」ではないでしょうか。このような直接的な表現はアメリカ人もあまり使いませんが、日常の中で全く聞かないという訳でもありません。私はよく日本人だということが知られると、日本文化が好きなアメリカ人から日本語で挨拶をされます。それは決して綺麗な日本語の発音ではなく、簡単な挨拶しか出来ない方も多いのですが、「I’m pretty good at Japanese. (僕は結構日本語が上手だよ。)」と言ってくる人も中にはいました。

 

日本人の価値観からすると、「なんで少ししか話せないのに上手とか言えるんだろう?」と思うかもしれませんが、アメリカ人からすれば大多数の人は日本語が一切分からないので、少しでも日本語が読めたり話せるのであれば、それは周りと比べて「Good(優れている)」となるのです。例えば上記のようなことを言われた場合、「Oh your Japanese is good, but my Japanese is better than yours. “おはようございます” See?(おぉ、日本語上手だね。でも、私の方が日本語上手だけどね!「おはようございます」ほらね?)」のように冗談で返してみると、相手の反応としては「Right, haha. But, I’m still good at Japanese.(確かにね(笑) まぁそれでも自分は日本語が得意だよ。)」のように返ってきます。

要するにアメリカでは、他人や他のものと比較して優れてるか否かを決めるのではなく、自分自身が素直に良いと思っている優れた部分に対して「Good」と使うのです。実はこの考えの根底にあるのは、自分や相手の良い部分は尊重しなければならないという価値観であり、その尊重を示すためにアメリカ英語では「Good」という言葉がしばしば使われるのです。

 

根底にある社会文化(Social Acceptance)とその影響とは

皆さんは「Social Acceptance(社会的受容)」という言葉を聞いたことがありますか?これはアメリカの社会文化、とりわけ教育面において根底をなす概念であり、英語版のWikipediaによると「Social Acceptance(社会的受容)」の定義は下記のものとなります。

Social acceptance could be defined as the fact that most people, in order to fit in with others, attempt to look and act like them. Or sometimes it is the ability to accept or to tolerate differences and diversity in other people or groups of people.
社会的受容とは、殆どの人は他の人とうまくやっていくために他者と同じように思われたり、同じような行動をしようと試みる事実と定義出来るであろう。また、時として他者や集団の中における相違や多様性を受け入れる、または許容することが出来る能力と定義される。
引用元:Wikipedia “Acceptance”
和訳:Seattle-Life.Net

本記事では「Social Acceptance(社会的受容)」の意味を後者の「他者との違いや多様性を受け入れる能力」として進めて行きたいと思います。

皆さんご存知の通りアメリカは個性を尊重する社会であり、また、人種のるつぼと呼ばれる多民族国家でもあります。このような背景からアメリカの教育現場、とりわけ初等教育においては、自身とは異なる相手の良い部分、優れた箇所を受け入れ、お互いを認め合うことを教えられます。これは実際に小学生の子どもを持つ複数の親たちから聞いた話ですが、子ども達同士がお互いの長所を「Good」と褒めあうことはアメリカの小学校では決して珍しい光景ではないそうです。

これはただ単に他人を尊重し、認めるだけの行為ではありません。「Social Acceptance(社会的受容)」の考え方においては、自分自身に対しても敬意を払わなければなりません。そのため自分自身が優れていると考えていることに対しても、素直に「Good」と言えるようになる訳です。反対に、この「Social Acceptance(社会的受容)」という考え方がある故に、アメリカの教育現場では「Bad」などの否定的な言葉を人や人の考えなどに対して使ってはならないとされています。その結果、アメリカ社会では往々にして「Good(優れてる)」と「Better(より優れている)」を基準にして話し合いが行われます。

 

優れているというニュアンスを含んだ”Good”の使われ方とまとめ

例えば、ディスカッションの場において自分の意見を通したい時、相手の話に「Good」と言って相槌を打ったり、「 Your idea is very good.(君のアイデアはとても優れているね。)」と相手の意見を尊重し、前置きをした上で「But, I think that there is a better way to do this.(でも、もっと良いやり方があると思うんだよね。)」のように切り出し、自身の意見を伝えていきます。ここはアメリカの高等教育の面白いところで、どんなものにも「Pros and Cons(良い点と悪い点) 」があると考えているので、自身の考えを伝えた後は、双方の「Pros and Cons」について話し合い、「Better」な結論を導き出すのです。

すなわち、アメリカ英語において「Good」はしばしば「優れている」という意味を含んでおり、相手に敬意を払う言葉として使用されることが非常に多いのです。そのため、アメリカ人が本当に「良い」という意味で「Good」を使うことは稀で、本当に良いと思っている場合には「Great」を使ったり、「I’m impressed!」のようなより具体的な言葉を使います。

アメリカ英語におけるこの辺りのニュアンスを正しく理解してないと、アメリカ人が心から褒めている時と尊重する意味で褒めている時の差が理解できず、本当の意味でアメリカ人が評価をしているものを理解することは出来ません。例えば、日本のメディアが「外国人がベタ褒めしている日本の製品とは?!」のように紹介している時に、アメリカ人の方が「This is pretty good.」とコメントしているのを見ると、ベタ褒めしているのではなく、ただ単に敬意を払う意味で褒めているだけなんだなと思います。

以上、いかがでしたでしょうか。アメリカ大統領選挙やトランプに関する記事もまだまだ書いていく予定ですが、真面目な話題の記事は書くのに時間が掛かる上に少し疲れるので、たまには今回のような簡単に書ける記事を書いていくのも良いのかもしれません。

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